『実は私が本物だった』作品概要
『実は私が本物だった』(漫画:yuunさん)は無料マンガアプリ・ピッコマで連載中(2023年2月現在は休載中)です。韓国の小説(作者:Marchさん)が原作となっていて、ノベル版もピッコマで連載中です。単行本はカラフルハピネスより3巻が既刊、4巻は2023年7月に発売予定です。
『実は私が本物だった』あらすじ
女神に選ばれし水の精霊一族にして、大陸有数の貴族であるパルビス家。パルビス家の娘は成人すると水の大精霊と交感する能力が与えられ、魔族の呪いによって乾いた大陸を雨で潤す事が出来ました。その為、パルビス家の娘は人々から「精霊士」と呼ばれます。
そんなパルビス家の大公に下った神託は、「生まれる精霊士は一人だけ」というもの。つまり、現パルビス大公の娘はたった一人という事です。その神託通りに生まれた一人娘。それが、主人公の「キイラ」でした。
誠実で真面目な性格であり、努力を少しも怠らずにたった一人の精霊士として懸命に生きていたキイラ。しかし、父からは親子らしい愛情を受け取った事がなく、彼女の望みは父親に愛される事ただ一つでした。深刻な愛情不足は彼女を追い詰め、自ら怪我をし気を引こうとした事もありました。それでも父親はキイラに見向きもせず、彼女は父親に愛されたいという一心でより身を削るように努力していきます。
そんな彼女の人生が変わったのは、18歳の時です。父の前妻の娘でありパルビス家の長女を名乗る、コゼット。彼女が現れた事で、今までのキイラの生活は一変しました。大公家に生まれる娘は一人だけという神託から、どちらかが偽物だという事のみ確かです。キイラは自分が本物だと信じながらも、心のどこかでは父にそっくりな容姿をしたコゼットが本物なのでは、と恐れを抱いていました。
しかも、コゼットは非常に狡猾で、キイラから何もかも奪うと言い、その言葉通り周囲の人を次々と自分の味方にしていきました。コゼットは卑劣な手で、キイラの評判を下げ自分の評判が上がるようにします。
そして遂に彼女は、父からの信頼まで得始めます。キイラが最も欲していた父の愛。それすら奪われてしまえば、全てが終わってしまう。それでも、精霊士としての力さえ目覚めれば本物の娘だと証明出来、この状況を全て覆せるとキイラは更に努力しました。
しかし、キイラの努力は虚しく、先に精霊士として目覚めたのはコゼットでした。これにより偽物の公女であったと判断されたキイラは、帝国を欺いた悪魔、本物の公女であるコゼットを傷付けた悪女として処刑されてしまいます。
キイラ自身も全てを失い、自らが偽物だったのかと思っていました。ですが、処刑前日に牢屋へやってきたコゼットから「実はあなたが本物だったのよ」と告げられ、全てがコゼットによる企みだった事を知ります。だからこそ、最期の瞬間までコゼットへの怒りと恨みを燃やしながらキイラは処刑されました。
全てが終わったかのように思えた次の瞬間。気付くとキイラはコゼットが大公家に来る前の過去へと戻っていました。現状を理解したキイラは、父の愛への執着からも吹っ切れ、第二の生を自らの為に使うと決意します。そして、コゼットに対しても必ず復讐をすると、もう出し抜かれたりしないと誓いました。そこからは前回とまったく違う、キイラの第二の人生が始まってゆくのです。
『実は私が本物だった』 登場人物紹介
キイラ
整った容姿に優れた頭脳と騎士団長すら務められる身体能力を持った、正しく完璧な公女。大公の実の娘です。しかし、人付き合いが苦手で、父親からの愛情不足に苦しみながら生きていた第一回目の人生では味方を得る事が出来ず、大公の本当の娘を名乗ったコゼットにより陥れられてしまいました。
その経験から第二の人生は自分の為に生きようと誓います。まず、父親に愛を求める事を止めました。父親ではなく、「パルビス大公」として見るようになったのです。次に、周りの人にも積極的に関わるようにしていき、騎士団員達とも打ち解け、名前だけや形だけではなく、真の意味での騎士団長になりました。侍女達とも前回とは違う接し方、関わり方をするようになり、自分の事を思ってくれる味方を得る事に成功しました。
前回と同じようにコゼットがやってきてからも、コゼットの手を読み逆に次々とコゼットをはめていきます。コゼットに対して、過去のコゼットの狡猾さすら糧にしてやり返す姿は本当にかっこよく、思わず「イケメン…いやイケ女!」と言いたくなってしまうようなキイラ。
しかし、人付き合いに慣れておらず、騎士団員達との飲み会で人見知りを発揮したり、無事打ち解けられた嬉しさから楽しくなってはしゃいだり、褒められて顔を赤くしたり、男性と近付き照れてしまったりと、彼女にも年相応の女の子らしい面もたくさんあります。不器用で、優しく、気高く、強い。そんなキイラの輝きには読んでいてとても心惹かれます。
ジーク
パルビス家の一人息子であり、主人公キイラの弟です。キイラの事が大好きで、キイラの前回の人生でも最期までキイラを信じてくれた人の一人でした。
彼はまだ幼く、キイラに対しては甘えん坊な弟らしい面を見せることも多いです。しかし、敵と判断した者には容赦なく、はっきりと敵意を向け、キイラへの態度と全く違った冷たさを出します。キイラの事を自慢の姉と尊敬しており、大好きだからこそ、キイラの周りに変な男が寄り付かないよう目を光らせています。また、そんな大好きな姉の父への姿に胸を痛めていた為、転生後のキイラの父への接し方に驚きつつも安心していました。
姉を傷付ける者は許せないジーク。勿論コゼットの事も嫌悪しています。ひたむきで可愛くて、姉想いの優しい弟。周りがコゼットを信じようとも、はっきり口に出しながら思いを伝えてくれるジークの姿はあまりにも愛おしく、推さずにはいられませんでした。
ジョゼフ
キイラが団長を務めているパルビス家の騎士団、パルビス騎士団の副団長です。彼もまた、転生前からのキイラの味方でした。キイラの立場がどれだけ悪くなろうとも、自分の団長はキイラだけだと言い、態度や姿勢も変えずにいてくれたジョゼフ。
転生後のキイラの変化に驚きつつも、とても喜んでいました。団員達と打ち解けたいとキイラが言った時にも一肌脱いでおり、今回の人生でのキイラの立場改善には彼の貢献が大きいと言えるでしょう。
真面目で誠実。優しく穏やかで、強い心を持った剣士。それがジョゼフです。そんな彼は、キイラに対して特別な想いを抱いています。その初々しさや純粋さ、想いの美しさも彼の魅力です。
アーサー
パルビス騎士団の団員の一人です。彼は、明るく面白く、人当たりの良い性格で、とても社交的な人物です。
以前はキイラと打ち解けたいと思いつつも、迷惑なのではないかと懸念し、近付けずにいました。しかし、転生後キイラが自ら仲良くなろうとしてきた姿を見てその懸念も消え、とても喜んでいました。キイラの「団員達と仲良くなりたい」という本心を聞き、アドバイスをして、飲みの席を設けるのにも一役買いました。
彼の明るさや人懐っこく可愛らしい表情、仕草には目を惹かれます。彼が出てくると場が一気に明るくなる為、この作品にとってのムードメーカーであると言えるでしょう。
ロゼ
キイラ専属のメイドであるロゼは、年頃の可愛らしい少女でありながら、キイラにとっての頼もしい味方でもあります。転生前のキイラは侍女達と特に関わりを持っていませんでしたが、転生後自ら関わりにいったキイラの行動により、ロゼとはとても打ち解ける事に成功しました。
キイラの事を思い、一生懸命に仕えてくれる彼女の姿は可愛らしく、応援せずにはいられません。また、キイラへ恋愛小説を勧め、キイラの世界を更に広げてくれました。キイラの敵であるコゼットの本性を見抜き、怒りを向けてくれる姿は、ロゼの優しさと素直さ、キイラへの思いを感じさせます。
『実は私が本物だった』 イチオシシーン!
私が一番好きなシーンは、ジョゼフがキイラの「騎士団員達に認められていないだろう」「皆から嫌われているのかと思っていた」という言葉を聞き、怒りを顕にした後、「公女様を誇りに思っています」と伝えるシーンです。
キイラは転生前、自らが団長を務めている騎士団の団員達と上手く打ち解けられずにいました。飲みの席に行っても特に話さず、黙って飲んでいるだけ。必要以上の会話はせず、業務連絡のみ。そんなキイラの姿に団員達は萎縮し、近寄り難く感じていました。一方キイラはそんな団員達の様子を見て、自分は嫌われていると思い込んでしまいます。団員達は決して嫌っていたわけではないのに。
その誤解が解かれるのが上記のシーンであり、このシーンのキイラによる自らを卑下する言葉を聞いた瞬間のジョゼフの様子がとても素敵です。「一体誰がそのような妄言を…?」と言い、はっきりと怒りを見せるジョゼフには心を奪われました。キイラの事を本当に慕っており、誇りに思っているのだと伝わってきます。そして、その思いをストレートにキイラへと伝えてくれるジョゼフ。彼の存在に彼女がどれだけ救われたか。読みながらジョゼフへのかっこいいという思いと感謝が止まりませんでした。
『実は私が本物だった』 関係性、ここに注目!
私が好きな関係性は、キイラとジョゼフの関係性です。
パルビス騎士団の団長であるキイラと、副団長であるジョゼフ。2人の関係は前回のキイラの人生の頃から続いているものです。ジョゼフはキイラの事を前世からずっと想っており、今世でもそれは変わらず、彼だけは何があってもキイラの味方なのだと思わせてくれます。また、ジョゼフのキイラへの気持ちが、段々と自覚を帯びた恋心に変わっていく様子がとても素敵で、ジョゼフの想いが実ることを応援せずにはいられません。
しかし、ジョゼフもキイラもとても純粋で、初心な所も多い為、ちょっとした事でお互い照れて固まってしまったりします。そんな所もとても可愛くて、頼むから早く結ばれてくれと願っています。
この2人の関係性は、可愛らしい恋愛模様以外に、お互い背中を預け合える相棒的存在であるという良さもあります。素晴らしい剣士であり、同士であるキイラとジョゼフ。2人での剣の稽古の様子はとてもかっこよく、お互いへの信頼も見えて最高としか言えません。
キイラとジョゼフに幸あれ。2人の幸福を祈り続けます。
ぜひ読んで楽しんでみてくださいね!