『復讐の毒鼓』作品概要
『復讐の毒鼓』(作画:Baekdooさん)は無料マンガアプリ・ピッコマで連載していましたが、完結しました。韓国の小説(作者:Meenさん)が原作となっています。前日譚を描いた『REWIND』『Flower』、続編となる『復讐の毒鼓2・3』も完結しています。韓国ではドラマ化されました。単行本はヒューコミックスより『復讐の毒鼓』6巻(最終巻)『REWIND』8巻(最終巻)までが既刊、以降の刊行予定は未定です。
『復讐の毒鼓』あらすじ
かつて、中学生にして高校生30人を相手取って、一人で勝利した有名な不良が存在しました。その名は神山勇、通称『毒鼓』。
この一件が原因で中学を退学になるほどのならず者の彼には、性格が正反対の双子の兄がいました。兄の名は秀、泰山高校に通う学生で、全国模試一位に輝く秀才でしたが、学校を牛耳る不良グループ『ナンバーズ』から受けた集団暴行によって死亡してしまいます。
恐喝をはじめとした不正行為を公にしようと、グループに反旗を翻した結果、この世を去った秀…。訃報を聞いて病院へと向かう途中で事故に遭遇し父親も死亡、息子と夫を同時に亡くしたショックから母親は失踪し一家離散、あっという間に天涯孤独になった勇。
「秀を追い込んだ奴らを突き詰め、復讐する…!」
そう誓った勇は、双子の特性を活かして秀のフリをして一年ぶりに復学、まずは下位ナンバーズをシメていくことで、泰山高校の実態を把握していくのでした。
『復讐の毒鼓』 登場人物紹介
神山 勇
腕っぷしの強さだけでなく頭もキレる人物で、本作ではケンカに頭脳戦と、目まぐるしく活躍します。
卑怯な作戦に巻き込まれた点を除けば、ケンカでは苦戦すらすることもなく、多勢でも無双ぶりを発揮するほどの強さ。彼が殴る音を聞いた相手は必ず敗れるという、『毒鼓』のあだ名の由来を遺憾なく発揮します。
不良ですが、学生だった頃は学校での成績もトップクラス、頭の回転の早さと目的を効率的に遂行する性格を兼ね備え、徐々に泰山高校内部を掌握していく様がカッコいいですね。
兄の秀とは双子という設定ですが、作画面ではそれぞれの個性を強調させるためか優しそうな表情の秀と比べて、いかにもケンカ慣れしている面構えをしています。ちょっと凶暴な感じですが、クラスのイジメられっ子・山崎を心配するなど、優しい一面にも注目です。兄弟揃ってツーブロックのヘアスタイルですが、勇は髪をアップに結うことが多々あります。
早乙女 零
ナンバーズのトップです。
彼は誰と喋る時でも基本的に敬語で、一人称も「私」と、おおよそ不良らしくない言動が良いですね。性格は冷酷で残忍、ケンカの実力も相当なもので頭もキレ、本作の見どころにして個性である頭脳戦を繰り広げ、作品にスリリングさを与えてくれる点でも重要なキャラです。
学校中の不良を束ね、『パシリ制度』を導入することで学校を企業化、敵対する者(秀や勇)には容赦しないなど、華奢で美形な見た目とは裏腹にクズキャラという点も気に入ってます。
弁護士を親に持っていることもあり法律に詳しく、ナンバーズが何かヤラかす度に的確なアドバイスを送り問題の鎮静化を図るなど、参謀として采配を振るう姿も様になる“頭の良い悪役”っぷりが際立つキャラです。
神山 秀
力で解決しようとする勇とは異なり、ナンバーズの実態を記録し、悪行の数々を白日の下に晒そうとしますが、志半ばで集団リンチによって命を落とします。
勇とは違いケンカは弱いですが、非力でもナンバーズに抵抗する強い意思を持った男で、暴力に脅されようが最後まで信念を曲げずに孤独に闘う様がカッコいいキャラです。
性格は大人しく優等生的な言動が目立ちますが、曲がったことが大嫌いな点では勇と共通しています。
本作では既に故人のため回想シーンなど、出番は少ないですが、後に続くシリーズにも度々登場する重要な人物でもあります。
雷藤 仁
勇とツルむ“路地裏の仲間”の一人です。
さっぱりした性格ですが、勇と同様で卑怯なヤツラが大嫌い、時には狂暴な一面を覗かせ、元レスリング日本一の肩書きに相応しい暴れっぷりを見せてくれます。
本作の前日譚である「REWIND」の出来事が原因で高校を退学になり、目的の無いダラダラした自堕落な生活を送るなど、何かと悲劇的な過去があります。しかし、仲間のピンチには駆け付け、ナンバーズの罠から勇を救う、いざという時に頼りになる一面が光るキャラです。
風見 愛
仁と行動を共にすることが多い人物です。
性格は基本的に大人しく、前日譚「REWIND」の頃から、ケンカにはあまり積極的ではありませんでした。が、仲間がピンチに陥った場合は話は別。数で圧倒的に勝るナンバーズとのケンカにも躊躇なく協力を申し出、仁と同様に仲間想いな一面が際立つキャラです。
関節技が得意な勇、力で捩じ伏せる仁とは一味違い、ペンで相手の攻撃を封じながら素早くトリッキーに動く戦闘スタイルも、バトルシーンにメリハリを与え斬新です。
『復讐の毒鼓』 イチオシポイント!
勇 vs ナンバーズの、クライマックスシーンは特に見どころです。
どしゃ降りの雨が降りしきる中、南原・内村の二人の仲間からも引き剥がされ、江上・木下が人質に捕られ絶望的な状況。抵抗すら許されず、兄・秀が殺された時と同じく激しい雨の中というシチュエーション。これまで、ナンバーズとのケンカは勇の圧勝続きでしたが、終盤にてようやくピンチが訪れたわけです。
この危機も、仁と愛の到着によって解放され、ボロボロの状態から早乙女とタイマンを行い、死ぬ寸前までボコる鬼気迫る姿が素晴らしい。ラスボスである早乙女が割りとあっさり倒されるのは呆気なく感じますが、復讐を達成しても秀が戻ってくるわけではない…。そんな勇のやり場のない怒りとやるせなさを感じさせる、このクライマックスは本作の中でも一番胸にくるものがありました。
『復讐の毒鼓』 関係性、ここに注目!
勇と路地裏の仲間達との友情関係が好きです。
勇は復讐を決意した時から、仁に愛、大樹やヤス達と距離を置き、たった一人でナンバーズに立ち向かおうとしました。しかし、そんな彼を心配し、積極的にコンタクトを取り、復讐に協力する仲間達。集団で群れるだけで仲間意識が薄いナンバーズ達とは違い、強い気持ちで結ばれた羨ましい関係です。
また、勇とナンバーズ会計・木下千佳子との関係も好きです。見た目は同じでも中身が違う…木下は秀が既に死んでいることを知らず(終盤まで)、勇を秀と思い込んでいる様子が切ないですね。続編の「復讐の毒鼓2」でも、秀のことを忘れきれない描写があり、普段の気の強い性格とのギャップも相まって、木下の女の子らしさが窺えました。
ぜひ読んで楽しんでみてくださいね!